D.I.P FACTORY BLOG

映像制作D.I.P FACTORYは山形県山形市を拠点に、ブライダル関連事業とインターネット動画CM制作を展開しております。会社・お店の御案内や商品のPRに「映像プレゼンテーション」を推進します。

数年ぶりの現場復帰。

先日、テレ朝系のドラマ「土曜ワイド劇場・鉄道捜査官」(主演・沢口靖子さん 公開日未定)の山形ロケの現場で数年ぶりに役者として現場復帰した。
自分が役者として村川組の現場に立つのは数年ぶりのことだ。
とはいえ、灯し続けてきた魂はずっと数年前の、あの頃の自分のままだ。

自分のような人間にまたチャンスを与えてくれた監督に、僕は本当に頭が上がらない。僕は、なんて幸せな人間なのだろうと思う。

この世界、どんなに努力をしても、自分が思い描いているシナリオ通りになど決してうまくはいかない。現実は、ほとんどの人が報われずに去っていく。僕も含め、僕はそういう境遇の人間をたくさん見てきた。
実力があっても努力をしたから報われるという世界ではないのだ。
そこには現在活躍している役者さん達を頂点とした巨大なピラミッドが歴然と存在し、そしてその底辺には自称役者を含めた何十万人もの群集が我一番と犇めきあっている世界なのだ。
だから「理想」を「現実」に変えていくには、どうしても実力以外の「力」が必要になってくる。

僕は今回、そんな底辺のたまたま監督に声を掛けてもらえた「運のいい男」にすぎない。
でもチャンスを与えてもらったからには、それに100%以上の力量で応えなければ監督に失礼になる。
僕はそんな思いで改めて初心に戻り、今回の現場に臨んだつもりだ。

現場では、相変わらず監督のボルテージがヒートアップしていた。
イメージしているビジョンを映像として成立させるために自らが現場を走り回り、俳優とスタッフを動かしていく。
現場に響き渡る声とあの鬼のような気迫が「村川組」独特の緊張感を生み出していく。僕は現場の片隅で出番を待ちながら、そんな監督の「背中」に改めて一つの作品を創る現場の指揮官としての「ロマン」を感じていた。本当にすごい方だ。

いよいよ出番がやって来る。当初自分が想像していたよりも今回の現場は冷静でいられた。緊張感は当然あるのだが、数年前の自分とは間違いなく違う。なぜだろう。この世界を一度ドロップアウトして客観的に観る事が出来たからなのだろうか。
昔、背負っていたヘンな「しがらみ」みたいなものは、一切ない。
不思議だった。

「はい本番!! よ〜い、スタート!! 」
「カチン!!」

監督のよく通る声とカチンコが、静まり返った現場に響き渡る。
眩いスポットライトを浴びながら、何気に感じるカメラの気配。
多くのスタッフと監督が、台本片手に鋭い眼差しで僕らの芝居をその側で見守っている。40人程のスタッフと多くの見物人が見守る中での撮影は、どこか精神状態が普通ではなくなる。
何か別の場所へトリップでもしてしまったかのようなヘンな錯覚に陥るのだ。
「何で俺こんなとこ、突っ立ってんだろ」
僕自身が時に自分を疑う。

主演の沢口さんと野村さんが、途中で台本のセリフをアドリブに変えてくる。それには運良く僕も臨機応変に対応できた。良かった。
本当に気さくで素敵な俳優さん達と現場を共にしている幸せ。僕は芝居をしている最中も、心の奥底でこの現場に立っている悦びに浸っていた。

とても短いシーンだが、監督は細かくカットを割って撮影している。
たいした実力もない僕に見せ場を創ってくれているのがよくわかった。僕はそんな一瞬一瞬に、言葉に出来ない「暗黙の愛情」を感じてしまうのだ。

無事撮影は終了し、このシーンで山形ロケはオールアップ。
「おつかれさまでした。」「ありがとうございました。」
監督と主演の俳優さん達とがっちり握手を交わした。
まだ都内での撮影は半分残っているが、握手を交わした監督は、何かをやり遂げて達成感に満ち溢れたやさしい目をしていた。

主演の俳優さんたちとスタッフの皆さんと食事した後、山形駅へ移動する。
「漆山〜。俺を山形駅まで乗せていけ。」
「はい、わかりました!!」
スタッフとは別に監督は僕の車へ乗り込む。

移動の最中、監督とはほとんど会話する事はなかった。
連日の撮影と山形ロケが終わった安堵感からだろう。
監督は助手席でウトウトと眠っていた。監督という仕事は本当に責任感のいる大変な仕事だ。ミラー越しに映る監督の表情。そんな心情を傍で感じながら、僕は山形まで車を走らせた。

午後2時。山形駅のホームで主演の俳優さん達と監督を見送る。
皆、山形新幹線に乗り込んでいく。ガラス越しに皆が手を振っている。
僕は監督と俳優さん達に、今回の現場を共に出来た事に精一杯感謝し、深々と頭を下げた。翌日も朝からスタジオで撮影だそうだ。
まだ半分の撮影を残している本隊は、再び今日のボルテージを維持したまま、慌ただしくホームを走り去る。
走り去って行く新幹線が少しづつ小さくなるに連れて、ホームでは少しづつ現実に引き戻され、それに順応していこうとする自分がいた。
次なるチャレンジを夢見ながら。





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漆山弘志

Author:漆山弘志
1971年山形市生まれ。アームレスリング世界チャンピオン南波さんのジムで10年間アームレスラーとして活躍後、「あぶない刑事」「はみだし刑事」などのアクションを演出する高瀬将嗣氏主宰のガイズエンターティメントに所属し俳優としての活動を展開、同郷で日本映画界の巨匠・村川透監督のご好意で村川作品を中心に活動する。
現在地元山形へ帰郷し、独自の映像制作事業を展開しながら充電中。



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